Credit : SHIMADA,Hiroshi / SKM
群馬県事務所新築 1996 P-1/2
■街のオアシス 問屋街として開発されたこの街は、その機能性から華やかさと無縁のようだった。その中心にほど近い角地を与えられた敷地は、何らかのカンフルを打ち込みたくなるような発想のきっかけを与えてくれた。 施主の先進的な取り組みとの同調もさることながら、防火指定などのない法的自由度も幸いし、事務所としてめずらしい、木構造と解放性をつくりだすことができた。
■緑の境界線 道路と敷地との境界線は街との接線といい表せる。緑を植えることで、道行く人々にささやかでも安らぎを持ってもらえるだろう。また、30cmほどに立ち上げられた縁石は程良いベンチになる。 開放的な1階のガラス面は、ときにギャラリーになりかわり情報の発信装置となる。 単純に通過する場所だった道が、立ち止まり、何かを意識せずにはいられない場所となっていくだろう。 このような取り組みによって、建築はその地に定住せず、街へと膨張していくかのように存在し続けていく。