nsm邸
設計・監理
- 坂下兼三+島田裕
構造設計
- 吉田一成/
吉田一成構造設計室
施工・管理
- 大山利行/
有)サクタスタイル
家族構成
- 夫婦 2人
子供 2人
犬 2匹
概要
敷地は那須高原の約200坪の別荘地。以前はゴルフコースだったところで、広大な敷地の中の1区画である。1本の松の木が象徴的で、高低差3mのゆるやかな傾斜が芝生に彩られた場所であった。
この敷地の中に建物をいかに配置するかがまず最初の課題となった。敷地はできるだけいじりたくなかった。むしろ、この緑の大地を強調したかった。建物は松の木を囲うようにL型のシンプルな形態とした。緑の大地にのびのびとダイナミックに浮かぶシンプルなフォルム。建物へは道路からコンクリートのトンネルをくぐり抜け、松の木を見ながら緩やかな傾斜をのぼり、階段・エントランスへと導かれる。くぐった瞬間、建物の形態が反転しまったく違った表情を見せてくれる。
L型の長軸方向はエントランスをはさんでリビングコーナーとダイニングコーナーに分離し、上部のロフトがその2つをつなぎ合わせている。長さ20mのこの細長い空間には暖炉・トイレ・ガラスの引き戸・ガラス壁を配置し、ゆるやかに分節している。また、ほりこみベンチ・持ち上がったダイニングを計画し、空間に変化をつけた。
一方短軸方向は直接外から出入りできるようにして、個室3部屋の独立性を保ちつつ(敷地内規定により分棟不可であった。)、ロフトでは相互に行き来できるように配慮し、回遊性ももたせている。各引き戸は施錠可能とし、家族だけ、ゲストがいる時の使い分けを考慮した。
今年の夏の間に芝生は雑草に食い尽くされ、その雑草は膝丈を超えた。いずれ周囲の黒土も雑草が生えアプローチの小道だけが人の足で踏み固められるだろう。「草上のステージ」となる日もそう遠くはなさそうだ。